財務分析

【財務分析シリーズ⑤】ROE

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株を選ぶときに「財務分析」が有効だと聞いたことあるけど、横文字とか多くてよくわからないなぁ。

このような方に向けて、財務分析について解説します。

財務分析とは、財務諸表等の数値を用いて企業の競合優位性を分析する手法です。

人間でいう健康診断や人間ドッグのようなものです。

人間も定期的に健康診断を受け、病気になっていないか等のチェックをしますよね。財務分析もそれと同じです。



競合他社と比べて「財務状況は健全か」「収益性は高いか」などを分析し、 現状把握と将来予測を行います。 万能ではありませんが、投資先の選択における判断材料になります。



今回は「ROE」について解説します。

ROEとは

ROEは企業の収益性を測る指標です。

ROEは「Return On Equity」の略であり、日本語で「自己資本利益率」と呼ばれます。

名前のとおり、「自己資本を使ってどれだけ効率よく利益を生み出しているか」を示しています。

ROEは次の計算式で算出されます。

ROE(%) = 当期純利益 ÷ 自己資本

分かりやすく言うと、「株主から出資を受けたお金(自己資本)で、株主へ何パーセントのリターン(当期純利益)を生み出したか」ということです。

例えば、株主から100億円出資を受けて当期純利益が10億円の場合、ROEは10%となります。

したがって、ROEが高いほど、「収益性の高い企業」=「優良企業」という判断をします。

一般的に10%以上だと、高ROEだと捉えられます。

ただし、PER等と同様、業種によって平均が異なるため、同業間での比較も大切です。

また、ROEは会社の規模に関わらず、収益性を測ることができます。

例えば、次のA社とB社を比較してみましょう。

A社:当期純利益20億円、自己資本100億円

B社:当期純利益600億円、自己資本5,000億円

一見、B社の方が利益も多いし、収益性も高いように見えます。

しかし、ROEを計算してみると、A社の方が収益性が高いことがわかります。

このように、企業規模に関わらず、その企業の収益性を比較することができます。

ROEの注意点

一般的には、ROEは高い方がよいとされています。

しかし、自己資本の金額が低い企業のROEは異常に高くなる可能性があります。

例えば、次の場合を見てみましょう。

共に資産が1,000、当期純利益が100の場合において

1 一方が自己資本(純資産)が800の企業(図の左側)

➡ ROE=100÷800=12.5%

2 自己資本(純資産)が50の企業(図の右側)

➡ ROE=100÷50=200%

このように、純資産(自己資本)が少ないと、ROE200%と高い数値になります。

ただし、この場合において必ずしもROE200%の方が良いとまではいえません。

その理由は2点あります。

1 「純資産」ではなく、「資産」で比較すると同じ割合になるから

2 自己資本比率が低いから

1 「純資産」ではなく、「資産」で比較すると同じ割合になるから

「純資産」ではなく、「資産」で比較すると、共に(当期純利益)100÷(資産)1,000=10%となります。

つまり、他人資本である負債も含めて考えると、その企業の収益性は同じということになります。

これをROA「Return on assets」と言います。次回詳しく解説します。

2 自己資本比率が低いから

自己資本比率を比較すると次の通りです。

自己資本800 ÷ 資産1,000 = 自己資本比率80%

自己資本50  ÷ 資産1,000 = 自己資本比率5%


自己資本比率は財務安全性を測定する指標です。

詳細はこちらを参照ください。

自己資本比率が低いと倒産する可能性も高まるため、必ずしも優良企業であるとは言えません。

まとめ

1 ROEは企業の収益性を測る指標

2 10%以上だと収益性が高い

3 他の指標(ROAや自己資本比率)も併せて比較する

以上参考になればうれしいです。