財務分析

【財務分析シリーズ①】自己資本比率

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株を選ぶときに「財務分析」が有効だと聞いたことあるけど、横文字とか多くてよくわからない。

このような方に向けて、財務分析について解説します。

財務分析とは、財務諸表等の数値を用いて企業の競合優位性を分析する手法です。

人間でいう健康診断や人間ドッグのようなものです。

人間も定期的に健康診断を受け、病気になっていないか等のチェックをしますよね。財務分析もそれと同じです。

競合他社と比べて「財務状況は健全か」「収益性は高いか」などを分析し、 現状把握と将来予測を行います。 万能ではありませんが、投資先の選択における判断材料になります。

今回は「自己資本比率」について解説します。

自己資本比率とは

自己資本比率とは、中長期的な財務安全性を測定する指標です。

「企業が倒産しないか」という安全性をチェックする指標であり、一般的には自己資本比率が高いほど、潰れにくい会社だと言えます。

自己資本比率は次の計算式で算出されます。

自己資本比率(%) = 自己資本 ÷ 総資本

簡潔に言うと、「持っている資産の内、返さなくていいお金の割合」です。

なるほど!「返さなくていいお金」の割合が多ければ倒産する可能性も低いもんね。

逆に自己資本比率が低い場合、借入金が多くあり、借金に依存していると言えます。借金はいつか返済しなければならないため、資金繰りを圧迫します。また、不況などで金融機関が貸し渋りを行うと、資金が回らずに倒産してしまうリスクもあります。

自己資本比率の目安はどれくらい?

自己資本比率が高いほど安心なのはわかったけどさ、実際どれくらいが目安なの?

まずは相場を知るために、平均を確認しましょう。

e-Stat(日本の統計が閲覧できる政府統計ポータルサイト)によると平均は41.9%です。

ところが、内訳を見ていくと、業種によって極端に低いものもあります。

例えば、クレジットカード業は11.6%しかありません。しかし、クレジットカード業は自己資本比率が低くても良い業種に分類されます。なぜなら、借りた資金をそのまま貸し付ける仲介者の役割を果たしているからです。

その他、インフラ整備などの初期投資が多いという理由で、自己資本比率が低くても良い業種もあります。

これらの理由から、一概に自己資本比率の目安を示すことはできず、その業種の相場と比較することが重要になります。

産業分類名称自己資本比率(%)
平均41.9
鉱業、採石業、砂利採取業59.2
製造業51
食料品製造業49.2
飲料・たばこ・飼料製造業48.3
繊維工業48.8
木材・木製品製造業(家具を除く)45.3
家具・装備品製造業61.6
パルプ・紙・紙加工品製造業40.9
印刷・同関連業51.3
化学工業57.8
石油製品・石炭製品製造業25.6
プラスチック製品製造業52.9
ゴム製品製造業56.7
なめし革・同製品・毛皮製造業58.7
窯業・土石製品製造業54.2
鉄鋼業39.6
非鉄金属製造業41
金属製品製造業54.2
はん用機械器具製造業54.7
生産用機械器具製造業59.6
業務用機械器具製造業52.9
電子部品・デバイス・電子回路製造業48.8
電気機械器具製造業43.8
情報通信機械器具製造業45.8
輸送用機械器具製造業52.5
その他の製造業64.4
電気・ガス業27.1
電気業21.8
ガス業56.6
情報通信業50
ソフトウェア業48.7
情報処理・提供サービス業45.7
インターネット附随サービス業47.9
映画・ビデオ制作業(※)63.5
新聞業54.2
出版業77.2
卸売業39.3
繊維品卸売業44.3
衣服・身の回り品卸売業55.9
農畜産物・水産物卸売業41.4
食料・飲料卸売業37.5
建築材料卸売業39.9
化学製品卸売業37.3
石油・鉱物卸売業30.6
鉄鋼製品卸売業31.8
非鉄金属卸売業24.1
再生資源卸売業44
産業機械器具卸売業45.6
自動車卸売業43.8
電気機械器具卸売業47
その他の機械器具卸売業42.1
家具・建具・じゅう器等卸売業48.5
医薬品・化粧品等卸売業44.2
紙、紙製品卸売業32.5
その他の卸売業41.8
小売業43.5
織物・衣服・身の回り品小売業46.4
飲食料品小売業45
自動車・自転車小売業31.4
機械器具小売業52.1
家具・建具・じゅう器小売業47.2
医薬品・化粧品小売業43.5
燃料小売業43.8
その他の小売業47.3
無店舗小売業55.6
クレジットカード業、割賦金融業11.6
物品賃貸業12.7
学術研究、専門・技術サービス業41.2
飲食サービス業42.3
生活関連サービス業、娯楽業41
個人教授所35.9
サービス業(*)48.4
【業種別 自己資本比率】

とは言え、実際には業種を絞らずにスクリーニングをかけることも多いため、個人的には下表を基準に判断しています。

自己資本比率評価 企業の安定性
60%以上A 超優良企業。倒産のリスクは極めて低い。
50%以上B 優良企業。倒産のリスクはかなり低い。
40%以上C 平均以上の企業。倒産のリスクは低い。
30%以上D 一般的な企業。倒産のリスクはまだ低い。
30%未満E 資金力が乏しい企業。倒産のリスクがある。
【自己資本比率 判断基準】

「他の指標を調べて、いい銘柄を見つけたけど、自己資本比率が低いなぁ…」

こういった場合に、その業種の平均を調べるようにして投資判断しています。

また、単年度だけで判断せず、その推移を調べることも大切です。

投資はその企業の未来に期待して行うものです。

自己資本比率が右肩上がりで40%なのか、右肩下がりで40%なのかは意味合いが大きく違います。

どの指標でもいえることですが、過去10年分くらいの指標を確認し、トレンドを知るべきです。

自己資本比率が高いと成長が遅い?

これまで自己資本比率は高いほど良いと説明してきましたが、自己資本比率が高すぎることの注意点について説明します。

自己資本比率が高いということは逆に言うと、借金が少ないと言えます。

世の中には「借金は悪」という考え方が根強いですが、必ずしもそういうわけではありません。

借金によって会社の成長を加速させたり、支払い利息を上回る利益を稼ぎ出すことによってレバレッジ効果が期待できるからです。

企業を成長させるためには、設備投資など多くの資金が必要です。金融機関から借入れて資金を調達することで、短い期間で企業を拡大できます。自己資本比率の高い企業は効率的な運営ができておらず、「成長が遅い」とも言えます。

とは言え、多すぎる借金は倒産リスクを高めます。何事もバランスが大事です。

なお、企業を立ち上げたばかりであれば、借金は多少多くなるのが一般的です。企業の成長過程を加味した判断が必要になります。

まとめ

・自己資本比率とは、財務安全性を測定する指標で、高いほど倒産しにくい(目安は60%以上)

・業種によって偏りがあるため、その業種の相場を知る必要がある

・右肩上がりか、右肩下がりかの推移を確認することも大切

・また、高すぎると成長が遅いともいえるため、バランスが大事

以上参考になればうれしいです。